「発達障害」はやる気がないだけ?なぜ根性論で片づけられてしまうのか

「やる気がないだけ」「怠けてるだけ」と思われがちな発達障害民。しかし、当事者としてはとても頑張っているんです。今回は、このすれ違いがおこる理由を解明するとともに、周囲の人、当事者双方の対策をご提案します。発達にイライラする定型さん、なんとか見返したい発達障害当事者さんはぜひ参考にしてください。
そもそも発達障害とは?

まずはじめにそもそも発達障害とはなにか、をおさらいしましょう。発達障害とは、脳機能の発達に偏りがあるために、社会生活に困難が生じる障害をいいます。
ここで重要なのは、発達障害は精神的なものではなく、「脳機能障害」に起因する、という点です。発達障害は目に見えない症状なうえ、二次障害の鬱や適応障害と混同されて精神的なものと勘違いされがちですが、これが発達障害の悲劇の始まりなのです。
なぜ「やる気がないだけ」と思われるのか

前述のとおり、発達障害は精神的なものと思っている人が少なくありません。そして定型発達の人であっても、世の中の人はみんなそれぞれ大変で、それぞれ頑張って生きているのです。なので「(俺みたいに)発達障害の人も頑張ればできる!」とか思ってしまうわけです。
しかし、発達障害はあくまでも「脳機能障害」であるので、頑張ってどうにかなるものではありません。発達障害者に「普通にしろ」と言うのは、足や心臓が悪い人に「100mのクラス平均は15秒だから、せめてお前も18秒くらいでは走れよな!」って言ってるようなものです。
実際問題、発達障害ってどんな感じ?
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「できる」と「できない」の間に「できるけど疲れる」ことがたくさんある
というテレビの画像、ご存知でしょうか。精神科医・吉川徹先生のNHKの発達障害特集での切り抜き画像です。知らない人はすぐに出てくるのでググってみてください。
この言葉は発達障害の苦労が端的に表されていて、「そうそうこれ!まさにこれー!」と共感した発達障害民が多く話題となりました。私も初めて見た時は、理解してくれる人がこの世にいることに涙が出そうになったほどです。
ただ厳密に言うと少しこれも語弊があります。これではやはり、「『疲れる』なんて甘えたこと言ってんじゃねー!疲れるのはみんな同じなんだよ!ちったぁ頑張れよ!」って言われそうです。なので私に言わせれば、

「できる」と「できない」の間に「やればできるけどやったら寿命が縮む」ことがたくさんある
ですね。
実際問題、発達障害もめちゃくちゃ頑張れば「ある程度普通」にはできます(なんともならない部分もあります)。これが社会の無理解を生む理由で、「頑張ればできるなら頑張れよ」と言われたら「そうなんですけどね…」と言わざるを得ません。
「頑張ればできるのにやらない」というのは、世間からすると「やる気がない」と同義なんです。
発達障害民は、納得いかないかもしれませんが、まずこの「普通の世界」の定義を知っておきましょう。
反対に定型発達の人々に知っておいてほしいのは、発達障害民は「普通でいること」に日々命を削り、疲弊しているということです。
フルマラソンを2時間で走れないのはやる気がないから?

100m15秒で走れるみなさん、フルマラソン(42.195km)を2時間以内に走れますか?世界記録がケルビン・キプタム選手の2時間0分35秒だそうなので、一般人のみなさんには無理でしょうね。
でも、100m15秒の時速は24kmです。100m15秒で走れる人は、1時間に24km走れるはずなので、2時間では48km走れるはずです。それなら、フルマラソンを2時間以内に走れないのはおかしくないですか?
急に何を言ってるんだとお思いかもしれませんが、発達障害民が日々言われていることがこれです。
100m15秒って普通のタイムですよね。それなのにフルマラソンを2時間で走れないマラソン選手は、やる気がないんでしょうか?そんなわけありませんよね。そういうことです。
100mを15秒で走る時、みなさんは全身全霊の力を使って全力疾走してるはずです。それは100mだからできるのであって、42km全力疾走はできないでしょう。
発達障害が「普通のことをする」のは、この「全力疾走」にあたるわけです。一時的にはできるかもしれませんが、恒久的にはできません。
発達障害民が「普通」の社会にいるときは、すごく頑張って全身全霊の力を使って「普通に近づこうとしている」んです。
一語一語、変なことを言っていないか、おそるおそる口に出す。こういうときはどうすべきなのか?頭を常にフル回転して考える。相手が嫌そうな顔をしたら、何を間違ったのか考える。家に帰って一人になっても、なんであんなことしたんだろう…と自己嫌悪がぐるぐる頭の中を回って寝付けない。
それを一生続けろと言われたら、普通のみなさんはできますか?
あまりピンとこない人は、例えばいちいち意識しないと息ができないとしたらどうでしょう?めちゃくちゃ大変じゃないですか?
発達障害は、定型発達なら意識しなくてもできるまさに「息を吐くようにやっている」ことが、いちいち意識ないとできないのです。
発達障害者はどう扱うべきなのか?

とはいえ、「こんなに大変なんだから発達障害に優しくしろよー!!!!」とは私は言いません。
私も普通に暮らしていたら、私より発達特性が強い人と接する機会が多々あります。正直、めちゃくちゃイライラします。
私は発達特性を理解しているので、「この人はこういう人なんだろうなぁ…」と諦め、「私も周りからはこう見えてるのかな」と反面教師にすることで、なんとか大人の対応をしていますが、理解できない定型さんはそりゃぁ我慢できないことでしょう。
無理なものは無理なので、離れられるのであれば、イライラする発達には関わらないことが得策です。これは定型同士であっても同じこと。合わない人と無理に仲良くする必要はありません。
仕事関係はやっかいですが、提案できることはあります。世の中、現状の仕事に満足している人は少ないのではないでしょうか。それであれば、「こいつと離れるために仕事を頑張って配置転換を狙う」とか、「めちゃくちゃ勉強して資格をとって転職する」とか、「発達からなんとかして逃げる」ことを、今まで諦めていた夢を追うための起爆剤にするのがおすすめです。
離れたくても離れられない家族に発達特性が見られる場合は、まずは発達障害について理解し、どう接していくのが良いか考えましょう。(人によって特性が違うので、ここでこうすべきとは一概に言えません。また別のトピックで深掘りしたいと思います)
発達障害者自身はどうすべき?

発達障害者自身は、決して「俺は発達だからしかたない」と開き直ってはいけません。もちろん、自分が苦手なことを認識し、そんな自分も認めてあげることは大切です。
しかし、発達障害だからできないと「自分で自分を受け止める」ことと、発達障害だからできないと「開き直って人に迷惑をかける」は別物です。
ではどうすべきなのか?毎日全力疾走して命を削りながら普通になるべき?こんな自分はなるべく人に関わらないべき?
違います。伸ばせるところを伸ばすんです。
「発達特性ゆえにできないこと」「できるけど大変なこと」はいったん置いておきましょう。「得意なこと」「好きなこと」「やっていて苦にならないこと」を伸ばすんです。
例えばモテるイケメンに対し、「アイツは顔だけじゃねーか。性格なんか最悪だぞ。なんであんなやつがモテるんだ」とぼやく非モテさんがいますが、それは本質を見誤っています。だからあなたはモテないんです。
ソイツには、「最悪な性格をも霞ませる最強の顔」があるのです。
発達が狙うべきはココです。「ちょっと変だし気が利かないしだらしないけど、なんか憎めないんだよな」ってやつです。
「なんだ俺に整形でもしろっていうのか!!!!?」って怒られるかもしれませんが、安心してください。他にも打つ手はいくらでもあります。もちろん整形に抵抗がない人は、積極的には進めませんが整形するのも1つの方法ではあります。が、整形したくない人も大丈夫です。私がこのサイトで発達障害が生き抜く術を惜しみなく語っていくので、ぜひチェックしてください!
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